本文へ移動

リハビリ室から

リハビリ室から

RSS(別ウィンドウで開きます) 

志田の考え

2014-01-30

脳卒中のお話

                      

                        理学療法士 志田拓也

 

 

皆さまこんにちは。今回は脳卒中についてお話をしてみたいと思います、少し前までは中風(ちゅうぶ)と呼ばれた時代もありました。脳卒中とは我々医療関係者の間では脳血管障害とも呼ばれています。

 

脳血管障害は死因の第3位、寝たきり原因の約4割で第1位、要介護認定者の3割を占めるといわれています。

では脳血管障害が起こってしまった脳の中はどのようなことが起こっているのでしょう?皆さん、田植えを終えた水田を思い出してください。イネの苗が脳細胞、水田に水を運ぶ用水路を血管に例えて説明して行きたいと思います。

脳血管障害というのは脳の血管のトラブルです、水田へと続く用水路が詰まってしまって水田に水が行かなくなった状態が脳梗塞といわれる病気です。これではイネは枯れ(脳細胞の壊死)てしまいますよね。

一方、用水路が大雨であふれてしまった時、田んぼには必要以上の水が流れ込んでしまいイネが水浸しになって同じく枯れてしまいます。これが脳出血と呼ばれる病態です。

 

 

では、なぜ脳細胞が壊死(イネが枯れる)と死んでしまったり、寝たきりになってしまうことがあるのでしょうか?

 

我々人間は、脳で多くの情報を処理しながら、細かな運動指示を体中の組織に送ることで動作というものを成立させています。

皆さんが普段何気なく行っているお食事を例に一緒に考えてみましょう。目の前にご飯とみそ汁とアジの塩焼きと漬物が並んでいます。まず、右手前にあるみそ汁を食べようとします、まず皆さんはみそ汁との距離を目視します、目:「みそ汁は右前約40センチ、高さ70センチの所に位置しています」と脳に報告を上げます。脳:「では脇を少し上げて肘はぴんと伸ばして、指はパーをして汁椀を取りに行きなさい」と指示を出します。それで手が動き始めて汁椀を取りに行きます。汁椀に触れた指からまたまた報告が上がります「少々熱いようです」、脳:「汁椀は持てる程度の熱さかな?」手:「大丈夫です」脳:「では汁椀を引き寄せなさい」脳:「フーフーして冷ましてからみそ汁を口に含みなさい」と言った感じです。

脳血管障害で脳細胞が破壊されてしまうとなぜお味噌汁を飲むことができなくなることがあるのでしょうか?脳血管障害の症状として運動マヒのみにスポットを当てられることが多いですが実に多くの障害と闘わねばなりません、一緒に考えていきましょう。

    運動マヒ・・・手足が思うように動かすことができなくなる場合があります。汁椀を取りに行こうとして腕を動かすことが困難になります。

⇒専門的治療が必要です。

 

 

筋肉がやせ細る・・・①によりマヒ側の手足が細くなったり、寝たきりになった場合にはマヒしていない手足も動かすことができなくなるため痩せてしまうことがあります。皮下脂肪が減るのではなく筋肉がやせるので決して女性がうらやましがるやせ方ではございません。今まで、ぎりぎり歩けていた方が歩けなくなったりします。

 

⇒専門的治療のほか自身で運動(自動運動)することが必要

    緊張異常・・・マヒ側の手は曲がりやすく、足は伸びやすくというのが一般的なようです。このような姿勢で歩いておられるのを目にすることがあります。

⇒専門的治療が必要

    反射異常・・・ゴムのハンマーで膝の下をたたくとマヒ側だけ異常に反応したり、座っていて姿勢が乱れていても平気な方がいらっしゃいます。皆さま横に倒れかけて、とか後ろにふんぞり返って座りながらお食事されても喉を通る気がしますでしょうか?また、呼吸はスムーズにできますか?

⇒専門的治療のほか骨盤を立てるように心掛けながらまっすぐに座ることが必要。

    協調運動障害・・・何かを取りに行こうとしたら手が震える。口元までスプーンを持ってきたのにうまく口に入らないことがあります。

⇒専門的治療が必要。重たい靴や食器が有効なことも。

    感覚障害・・・汁椀を持っても熱いと感じない、同じ姿勢で寝ていても腰やお尻が痛いと感じない。関節の曲がっている程度や動いている感じがわからないことがあります、またこれらによりやけどや歩行困難を生じます。

⇒専門的治療が必要。

    関節可動域制限・・・マヒやマヒをはじめとする上記の症状により動作が制限される結果、関節が固まってしまうことがあります。

⇒専門的治療のほかに周りの方やご自身で動かすことが必要。

    高次脳機能障害・・・視力が保たれているのにもかかわらず目で見てもそれが何であるか認識できない(失認)、手足は動くのに服を着ることができない(失行)、文字が理解できない、思いが言葉にできない(失語)。よく気力がないと判断されることも。

⇒専門的治療のほか周りの方のさりげない援助が必要。

他にもいろいろあるのですが、これらが絡み合い寝返りから歩行等の移動(基本的動作)と食事、洗面、更衣、入浴、排泄(身の回り動作)が制限されるということになります。

⑨認知症・・・脳血管障害が原因でない場合もあります。脳血管障害による認知症の特徴として、正常に保たれている場面とそうでない時があり、まだら認知症とも呼ばれています。

⇒専門的治療のほか周りの方のさりげない援助が必要。

 

 

デイサービスセンター国分では、多職種が知恵を出し合い上記障害の程度を分析、どの障害がその人のどの動作を妨げているのか?その障害はリハビリによって改善できるのか、また環境整備によって克服するのか?ご家族様の協力が必要か?等々について、業務分担しご利用者様本人が少しでも楽に動けるよう、またご家族様の介護負担がわずかでも軽減するよう日々取り組んでおります。

 

リハビリ室から

RSS(別ウィンドウで開きます) 

まだ11月ですが・・・

2013-11-21
少し気が早いかな? と思いましたが、玄関を飾り付けました
ご利用の皆さまだけでなく、地域の方にも楽しんで頂ければ嬉しいです

紅葉ドライブ

2013-11-21
見頃には少し早かったのですが、秋の空気を満喫してきました
みなさんの笑顔にこちらが元気を頂きました

リハビリ室から

2013-11-12
昨今のリハビリテーションについて
          
                  顧問  今井 至
 
40年前頃はリハビリテーションといっても、国民にとってはその言葉そのものがよくわからない時代でした。ましてや理学療法士、作業療法士という言葉はなおさらのことでした。
わが国では、昭和40年に『理学療法士・作業療法士法』が公布され昭和41年に初めて国家試験が実施されました。試験は年1回で、来年の平成26年2月で第49回目になります。従って言語聴覚士も含め、医師、看護師等と比較しても歴史の浅い職種といえます。
当初リハビリ技術者は、大部分病院等の医療機関に勤務し、骨・関節疾患、脳血管疾患、各種神経筋疾患等に対し治療をしてきました。また、比較的大きな病院にしかセラピストがいない時代でした。
近年、リハビリテーション分野は飛躍的に伸びてきたといえます。対象とする疾患も前述の疾患に加え、呼吸・循環器、内部障害、がん、広義での地域リハビリ等々。そして、デイサービス設立やプロ野球球団をはじめプロスポーツ界やジム等健康産業で働くセラピストもいる時代になってきています。
特に、最近よく言われていることは、チーム医療、ホスピタリティ、卒前・卒後教育などがあげられます。患者様、利用者様が最良の治療を受けることができるために当然のことといえましょう。
一方、セラピストの資質が問われています。国家資格(免許)を得てから日進月歩する医療・福祉にどう向き合っていくのかを今一度、各人が考えなければならないと思います。
ちなみに、日本理学療法士協会では、理学療法士の上位に認定理学療法士を、その上位に専門理学療法士を専門別に認定しています。これらは、内容は異なりますが、日本看護協会が先行して実施しています。
今後、さらに国民のみなさまにリハビリテーション全般に対する理解が十分得られるよう、セラピストひとり一人が日々努力を惜しまない姿勢が大切なことだと思っています。
TOPへ戻る